2004年5月24日(月)18:49

EU外相会合:EU憲法交渉で歩み寄り

ブリュッセル(AP)

欧州憲法を協議する重要なEU首脳会議を三週間後に控え、論点をめぐって加盟国の間で歩み寄りが見えてきた。「私たちは前進している」とEU議長を務めるアイルランドのブライアン・カーウェン外相は月曜日、ブリュッセルで開かれた特別EU外相会合を終えて語った。ドイツのヨシュカ・フィッシャー外相は「極度に楽観的とは言えないものの、真の前進」が得られたと述べた。

協議の対象は閣僚理事会の二重多数決制の問題、ならびに欧州の宗教的伝統に関する言及の問題であった。この二つの問題の妥協案はまだ形をとっていないものの、カーウェン外相は、6月17日と18日にブリュッセルで開かれるEU首脳会議の席では予定どおり打開が図られるとの見通しを表明した。首脳会議の直前に議長国アイルランドは未解決の問題について妥協案を提示する意向である。

フィッシャー外相は、すべての加盟国が二重多数決制の原則を受け容れたと強調した。依然ポーランドは留保を付けており、「なお議論が必要であろう」。しかし最終的にはアイルランドの提案が「その重みを発揮する」と思う。ドイツ政府には妥協の用意がある。「私たちは若干の修正であれば拒否するものではない」。「だがナンセンスな案なら認めるつもりはない」、とフィッシャー外相は語った。

ポーランドのヴロジミエシュ・チモシェヴィッチ外相は、ポーランド政府が求めるのは「フェアな妥協である。その可能性がなければ、事態はきわめて難しくなるだろう」と述べた。二重多数決制は加盟国の人口規模に一層の比重を置くもので、とりわけドイツに有利になる。これは加盟国の多数かつ人口の多数の賛成をもって決定が行われるという制度である。

しかし、双方の多数決にどれほどのパーセンテージを与えるかは未だ合意が得られていない。フィッシャー外相は、ドイツ政府にとっては加盟国の50パーセントと総人口の60パーセントというEU将来像会議の提案があくまでも交渉の基本となると述べた。フランス、イタリア、イギリス、ベルギー、オランダもこの数値を支持している。

憲法前文で神に言及するか否かという問題では、EU将来像会議は「ヨーロッパの文化的、宗教的および人文主義的伝統」という文言を提案している。しかし、ポーランド、イタリア、ポルトガル、リトアニア、マルタ、スロヴァキア、チェコは、ヨーロッパのキリスト教的価値に具体的に触れるようあらためて要求した。これに対しては厳しい政教分離を実施しているフランスなどが強硬に反対している。カーウェン外相は「きわめて微妙な」問題であると語った。

欧州議会がEU予算に対してどのような権限を持つべきかという問題では解決案が見えてきた。議長国アイルランドは閣僚理事会と欧州議会を取り持つ合同委員会で合意を図るという案を提案し、大方の賛同を得た。この案では欧州議会は予算の最終的承認権を失うことになる。しかし欧州議会の代表はこの案に対する同意を表明した。

一方、将来の欧州委員会の規模、ならびにどの政治分野で全会一致を廃して特定多数決で決定するかという問題については、依然合意が得られていない。EU首脳会議前の会合としては、6月14日にルクセンブルクで開かれる定期外相会合が予定されている。

原題:Annaeherung bei Verhandlungen zu EU-Verfassung




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